2025年6月10日、BtoB企業のマーケティング責任者やトップマーケターを招いて「BtoB Marketing Academy Conference 成長企業が"今"する意思決定」を開催しました。
本イベントでは、Webマーケティング戦略の成功事例をもとに、サイト運用とコンテンツ設計の秘訣を解説しました。 その中の1セッションにて、エキサイト株式会社様から「成長期になぜWebサイトをリニューアルしたのか?」についてご講演いただきました。
エキサイト株式会社様は直近、同社が運営しているウェビナー運用サービス「FanGrowth」のサービスサイトを、ferret Oneでリニューアルいたしました。サイトリニューアルという意思決定を、どのような事業・マーケティング戦略に基づいて行ったのか?その意思決定の裏側や、実際のサイトリニューアル進行プロセスについて紹介します。
※本レポートではセミナーの内容を抜粋して記載しています。
エキサイト株式会社 執行役員 大熊 勇樹 氏
デザイン会社、ベンチャー企業にて主に新規事業部門での役員経験を経て、2021年4月エキサイトに入社し、執行役員就任。入社後にSaaS/DX事業部を立ち上げ、2年で4プロダクトリリースを行う。事業責任者を兼務している【FanGrowth(ファングロース)】では、現在リリース2年で1400社のマーケターコミュニティを構築し、組織拡大をしている。
ウェビナープラットフォーム「FanGrowth」は、「どんな企業でも『売上に繋がる』ウェビナーが開催できる」をミッションに掲げ、プロダクト × BPOを提供。
2022年のリリース以来、企画から実行、配信、分析、コンテンツ活用までを一括で支援するSaaS「FanGrowth」と、戦略立案から伴走する「FanGrowth BPO」を展開。
1,500社以上の企業に利用されており、SalesforceやHubSpotといったCRM/SFAとの連携、AIによる企画・コンテンツ生成、アナリティクスや配信機能などを備え、進化を続けています。
▼「ferret One」で運営しているWebサイト
https://www.fangrowth.biz/大熊氏:
まず1つ目のテーマは、「なぜ今、サイトリニューアルに踏み切ったのか?」についてです。
サイトリニューアルを検討する際、大幅な変更によって「既存のコンバージョン率が低下するのではないか」という不安やリスクは当然ありました。
サイトリニューアルの最適なタイミングを見極めることは非常に難しいものです。しかし、私たちがリニューアルを決断した最大の理由は、商材リリースから3年が経過し、事業として本格的にマーケティングに注力するフェーズに入ったことにあります。
ここからは、その意思決定においてどのような判断軸があったのかを詳しく説明していきます。
大熊氏:
サイトリニューアルの主な目的は問い合わせ数の強化でした。皆さんも「マーケティングといえば問い合わせ数だよね」と思われるかもしれませんが、私たちは明確に3つのポイントを設定しました。
大熊氏:
1つ目の理由は、「FanGrowth」が成果の再現性を確立し、仕組み化ができるタイミングに達したことです。FanGrowthを提供して約3年が経過し、属人的な営業に依存せず、どの営業メンバーが担当しても一定の受注率を担保できる状態を実現しました。このような状況になったため、私たちはLBM(リード・ベースド・マーケティング)を本格的に拡大するタイミングだと判断しました。
2つ目の理由は人員拡大です。大幅に人員を増強し、現在も採用活動を積極的に行っている状況です。この人員増加に伴い、主要なマーケティングチャネルを拡大する必要性が生じました。
3つ目の理由は、FanGrowthのアップデート速度が非常に速いのに対し、Webサイトの更新がそれに追いついていなかった点です。営業資料は随時更新できるものの、Webサイトの更新には技術的な課題があり、古い機能の情報がそのまま掲載されているケースが多く発生していました。
これから、私たちがサイトリニューアルを決断した、これら3つの重要なポイントについて詳しく説明していきます。
大熊氏:
FanGrowthのサービス提供開始から3年が経過し、顧客基盤が安定し、営業体制も整備されました。これにより、営業担当者の個人的な能力に依存せず、どのメンバーがお客様に対応しても一定の成果を出せる状態にまで成長することができました。
また、このタイミングで安定して顧客基盤も確保することができ、「PMF(プロダクト・マーケット・フィット)を達成できるほどプロダクトが強化された」と実感できるレベルに到達しました。
営業体制の整備と商材の再現性が確立されたことで、この2つの基盤を活かし、次のステップとして問い合わせを起点とした「LBM(リード・ベースド・マーケティング)」へとフェーズを移行することになりました。その結果、顧客が自らFanGrowthに引き寄せられる比較的プル型の施策の仕組みを強化するタイミングとなりました。
大熊氏:
FanGrowthは新規事業だったため販管費を抑える必要があり、この2年間は最小構成(マーケティング担当1名、インサイドセールス1名、フィールドセールス1名)で運営してきました。
立ち上げ1〜2年目の受注貢献チャネルを分析したところ、紹介や人脈、決裁者マッチングといった要素が圧倒的な強さを示していました。
多くのお客様から紹介をいただけるプロダクトに成長できたことは非常にありがたいことでしたが、それだけでは爆発的な成長は見込めませんでした。一方で、運用していたサイトでは、資料請求・問い合わせ数が増加しており、このチャネルにポテンシャルと伸び代を感じ、今後の柱となるチャネルとしてさらに拡大していきたいと考えました。
大熊氏:
もう一つの私たちの判断軸となったのは、ハウスリスト内のターゲット数とそのアクティブ状況です。FanGrowthのマーケティングチームでは、MQL(マーケティング・クオリファイド・リード)をコールド・ホットの2種類に分類しています。MQLホットは、私たちのターゲット企業であり、かつ最終コンバージョンが半年以内に見込まれる企業と定義しています。
インサイドセールスは、実際にこのMQLホットに分類された企業のみにアプローチを行っています。しかし、既存のハウスリストへのメルマガ配信による掘り起こしには限界があることが明らかになっていました。そこで私たちは、自ら情報を検索する顕在層ユーザーを効果的に取り込むためのコンテンツマーケティングの展開が不可欠だと判断し、これもWebサイトリニューアルを決断した重要な理由の一つとなりました。
大熊氏:
リニューアル前のWebサイトはデザイン性が非常に高く、私個人としてもとても気に入っていました。また、コンテンツも一定量は掲載できていました。しかしながら、デザイン性を重視しすぎていたことと、社内リソースが不足していたこともあり、実際のサービス内容とWebサイトの内容に乖離が生じてしまいました。
当初は「サイトの更新は必要ない」と想定して、編集できるパーツが限られているCMSを利用しておりましたが、気がつけば内容を更新せざるを得ない状況になっており、最終的にはCMSに別のCMSを上書きするといった無理な対応をしなければならない状況になっていました。
大熊氏:
私たちは今回ベーシック社にWebサイト制作を発注させていただき、その結果として非常に満足度の高いサイトに仕上げることができました。リニューアルの要件として、以下の7つのポイントは最初にしっかりと作り込む必要があると感じました。具体的には、サイトの目的、ターゲットの課題、カスタマージャーニーマップ(CJM)とサービスおよび顧客の分析を詳細に行うことです。
大熊氏:
ベーシック社には、私たちのバリューとなる重要なポイント—「顧客はなぜFanGrowthを選んでいるのか」—を徹底的に引き出していただきました。
その後、具体的なペルソナの共感を生み出せる訴求やコンテンツは何か、そしてサイトの運用方法まで含めて詳細に話し合いを重ねました。
おそらくベーシック社も私たちも、このプロジェクトに非常に多くのリソースを投入したと思います。
大熊氏:
こちらが実際に作成したターゲット表です。以前は「SaaS、IT企業で売上が何千万以上」といった基準でターゲティングしていましたが、現在は「過去にウェビナーを実施した経験があるか」「ウェビナーに注力した実績があるか」などの要素もターゲット基準に加えました。 この結果、ターゲットごとに課題が明確に分かれていくようになりました。
私たちは今回のWebサイト制作において、この大項目の中でどのターゲットのどの課題を優先的に解決するのか、つまり「メインターゲットをどの程度絞り込むのか?」についてベーシック社と詳細に打ち合わせを重ねたことが、質の高いコンテンツ制作につながったと実感しています。
このように細部まで深く議論してくれるパートナー企業は非常に貴重だと思います。
大熊氏:
ターゲットが明確になったことで、今回のサイトリニューアルでは大胆な判断をしました。
一般的なウェビナー支援プロダクトは「ウェビナーとは何か」といった基本的なコンテンツを作ることが多いのですが、私たちは思い切ってそれらを削除しました。
こうした一般論や初心者向けのコンテンツは、私たちのターゲットには合わないと判断したからです。
逆に強化したのは事例・施策別の活用シーン・課題別の3つのコンテンツです。
実際に私たちが営業活動で日常的に伝えている具体的で詳細なノウハウを全てコンテンツ化しました。
リニューアル後、このサイトを営業の場で利用したところ、Webサイトを見せるだけで営業提案が完結できる状態になりました。
ターゲットが広がるほど、コンテンツは抽象的にならざるを得ません。だからこそ私たちは徹底的にターゲットを絞り込みました。これが今回のサイトリニューアルの最大のポイントです。
大熊氏:
今回のサイトリニューアルで最も時間をかけたのは、初期段階の戦略設計のすり合わせです。ベーシック社とは1ヶ月半にわたって徹底的にディスカッションを重ねました。この集中的な準備期間が今回のプロジェクト成功の基盤となったと確信しています。
大熊氏:
実は今回、6社でコンペを実施しました。率直に申し上げると、ベーシック社が圧倒的に優れていました。
外部パートナー選びで最も重要なのは商材理解度です。Webサイト制作には事業計画やターゲットの深掘りが不可欠であり、パートナーにも同じレベルで理解してもらう必要があります。このプロセスがストレスなく進められたことが非常に重要なポイントでした。
大熊氏:
こちらが実際にベーシック社から最初に提案された内容ですが、私たちに非常に響きました。初回営業段階から的確さが際立ち、弊社への理解度の高さに驚かされました。さらに素晴らしかったのは、営業担当者が作成した資料の内容を制作チームが同じ温度感で理解し、一貫したディスカッションを最後まで続けてくれたことです。
この一体感こそが、ベーシック社に依頼して最も良かった点でした。
大熊氏:
サイト制作にはさまざまな目的がありますが、リード獲得やマーケティング施策として活用する場合、最初の戦略があいまいだと後工程でさらに焦点がぼやけてしまいます。
方針決定は絶対に手を抜いてはいけない工程です。むしろ、ここに最も時間をかけるべきだと考えています。
もう一点強調したいのは、見た目のデザインはそれほど重要ではないということです。もちろんこだわるべき部分はありますが、単に「かっこいいサイト」を目指すだけでは意味がありません。
重要なのは、必要なコンテンツを明確な意図を持ってしっかりと作り込めるかどうかです。今回のリニューアルでは、この点に特にこだわって取り組むことができました。
大熊氏:
サイトリニューアルは事業の戦略再定義そのものだと考えており、リニューアルがもたらす価値は3つあります。
単なるサイト更新ではなく、事業そのものを見つめ直す機会となりました。AI時代において、マーケターには「思想」を持つことが不可欠です。
ありきたりなコンテンツが増える中、思想を乗せるだけで独自性は大幅に向上します。
今回の意思決定のポイントは、事業の再現性が確立されたタイミングでマーケティングに予算をかけ、中核となるWebサイトを見直して問い合わせ数を増やしたかったこと。そして、商材理解度が最も高かったベーシック社をパートナーに選んだことです。
ターゲットを明確化したことで、コンテンツに特徴を持たせることができ、自然な形でターゲットを絞り込める構成を実現しました。つまり、サイトリニューアルは表面的な改修ではなく、事業の戦略再定義の絶好の機会なのです。
最後に、Webサイトリニューアルを検討されている企業の方々には、ぜひベーシック社への相談をお勧めします。
今回、ferret Oneでは初期戦略の段階からFanGrowth事業のサイトリニューアルをお手伝いさせていただきました。
サイトリニューアルにおける意思決定ポイントは企業様ごとに異なりますが、重要なのは現在の事業フェーズとサイトに乖離がないかを客観的に評価することです。
今一度、自社のサイトは事業フェーズと合致しているか?プロの視点ではどう評価されるか?など、お悩みがございましたら、ferret One クリエイターズにお気軽にご相談ください。