
BtoBサイトに構造化データマークアップは必要か ── AI検索時代の「土台づくり」を語る
FAQリッチリザルトの廃止、AI検索(LLMO)の台頭——Googleの仕様変更が続くなか、多くのBtoBマーケターが「やったほうがいい気はするが、後回しにしている」のが構造化データマークアップではないでしょうか。
ferret Oneのマーケチームは、自社サイトにこの構造化データマークアップを実装しました。「成果が約束されているわけではない」と語りながらも、なぜ今あえて取り組んだのか。その判断の裏には、AI検索に振り回されないための一貫した考え方がありました。
実装を主導したマーケマネージャーの見山に、取り組みのきっかけから「BtoBにSEOは効くのか」という問いへの見解、実装して見えた効果までをインタビューした事例記事です。
なぜ構造化データマークアップに取り組んだのか
梨木: まず、構造化データマークアップに目を向けるようになった最初のきっかけと、「やろう」と決めたタイミングや文脈を教えてください。
見山:そもそも構造化データマークアップを「やっていない」ことに気づいたのが出発点でした。これによって成果がどれだけ上がるかという確からしさが語られているわけではありません。ただ、直近でGoogleがFAQリッチリザルトの表示をやめたり、新しい仕様を出すと宣言したりと、いわば"Googleの手のひらの上"で動かされている状況がある。そうした中で、まず「やって損がない」というのが一番大きな理由でした。
後々、優先度が上がったときに慌ててやろうとすると、実装までのリードタイムで動けなくなってしまう。中長期的にいつかAIを強化する可能性があるなら、今のうちにやっておこうと考えました。構造化データマークアップの後にSEO・AI対策の強化を進める計画も立てていたので、その土台づくりとして取り組んでいます。
BtoBに構造化データマークアップは効くのか
梨木: 構造化データマークアップに限らず、BtoBの世界では「toC向けのSEO施策は効果が薄い」という意見も聞きます。そうした声に触れたことはありますか?また、どう考えていますか。
見山:正直、その意見に直接触れたことはないんです。ただ、SEOの領域は商品数やN数が多いtoC・EC領域で効果が現れやすい、というのは私も認識しています。
toCとtoBでは、そもそもビッグワードの検索数が全然違う。BtoBはロングテールを攻めないと総数が集まらない世界です。とはいえ競合がいないわけではないので、「他社がやっているなら遅れていたくない」という競争心がベースにある。効果のあるなしで判断するのも各社の見解ですが、私個人としては、競合がやっているならやる。逆に、Webマーケティングをメインにしていない会社なら、やらない判断もあると思います。
超・土台への投資。AIがWeb検索に様々な影響を及ぼそうとも、サイトの情報を構造化して分かりやすくしておくことは、何が読みに来ても通用する最低限の備えになります。
梨木: そもそも、なぜ「toCのものはtoBには効かない」と言われるのでしょうか。
見山: やはり検索数の規模だと思います。たとえば化粧品やECサイトはビッグワードを多く持っていて、流入数が桁違い。だから施策をやったときの引用数やインパクトも大きい。一方でBtoBはロングテールでの戦いが主になります。
さらに、toCの多くはSEOのセッションが直接的に購入や収益につながるモデル。だからこそ対策が必須とされます。一方のBtoBは、いろんなタッチポイントを経た人海戦術の世界。そういう意味でインパクトが少なく見えて、軽視されがちなのかなと思います。
梨木: セッション数の多寡はあっても、1セッションがもたらすインパクトで言えば、BもCもそんなに変わらない気もしますね。売り方のバリエーションによって、重要度が変わる業態も出てくると思います。
構造化マークアップの位置づけ
梨木: 構造化データマークアップがBtoBサイトにもたらす意味を、ご自身の言葉で説明するとしたら?
見山:今後は「人のためのSEO」と「AIのためのSEO」、つまりテクニカルSEOの部分が本当に重要になってくるのは明白だと思います。コンテンツSEOには記事のTipsなど細かい手法がありますが、テクニカルSEOは基本的にぶれない。一度やってOKなら、そこで気にしなくてよくなる領域です。
構造化データマークアップは、私はテクニカルSEOの一部だと捉えています。LLMOや生成AIの登場で改めて注目されていますが、もともと「スキーマ」という考え方で言われてきたもので、新しい概念ではありません。「読み込ませる」ことの重要性が増した、ということだと思っています。
AI検索対応に振り回されないために
梨木:AI検索への対応は、やるべきことが次々と増えて混乱しているマーケターも多いと思います。出てきた施策に飛びついて対応していくべきなのか、それとも一度立ち止まって整理すべきなのか、どのように考えていますか?
見山: 結論から言うと、慌てて飛びつく必要はないと思っています。なぜならm対Google、対ユーザーという視点は、AIが登場しても基本的に変わりません。Googleが回答をAIで生成しUIを変えても、ユーザーがそれを追ってAIを使うだけ。なので向き合う対象は変わりません。テクニカルSEOの文脈で、よりクローラーが読みやすくする配慮は、一見AI対策のように見えても、結局はテクニカルSEOなんです。クローラーが賢くなっただけで、地続きだと思っています。
むしろ注意したいのは、目先の数値に振り回されてしまうことです。AI対応で流入が下がったからと短絡的に戻すのではなく、中長期の視点でその戦場で戦い続けるべきか、今やるべきはそれなのかを整理する。私自身、課題の優先度を踏まえて「今はAIO対応はやらない」という判断をしました。優先度が巡ってきたら、その時に最新の情報をキャッチアップをすればいい。普通に優先度で考えればいいと思っています。AI検索のアルゴリズムは毎日変わるし、ユーザーによっても表示が変わる。目的ドリブンで考えれば、そんなに踊らされることはないはずです。
そもそもSEOで戦うのが効率的でないチャネルなら、無理に戦い続けなくてもいいんです。たとえば営業が商談で差し出す記事を作るなど、目的を変えてもいい。結局は「コンテンツを作り、どのタッチポイントでエンゲージメントを上げるか」に帰結していくので、ここで無理に戦い続ける判断はしなくていいと思います。
構造化マークアップ対応で得られた効果
梨木: 構造化マークアップ対応で得られた具体的な効果はありますか。
見山: 構造化マークアップ対応は4月末に完了させたのですが、
5月に入ってから今まで全くなかったChatGPT経由のMQLが突如4件発生しました。Gemini経由のMQLも、これまでは1件あるかないかだったところ、5月は3件発生しました。
流入数が増えたわけではなく、純粋にCV数(CVR)が上がっており、
これは「GeminiがよりCVに近い文脈でferret Oneを紹介するようになった」という解釈もできるかもしれません。
TOPページへの流入はGPT経由で毎月約60件ほどあります。同業のマーケターの知人に聞いたところ、各社いずれもこれくらいの数だそうです。AIからの流入が見られるケースとしては、以下のような特徴が見られます。
・解説・定義系記事(いわゆるKnowクエリ/〜とは 記事):AIが回答の根拠として引用しやすい
・サービス比較・選び方に関する記事(いわゆるBuyクエリ/サービス〇〇選、系の記事):検討フェーズのユーザーをAIが案内
・事例記事(個社の事例記事もピックアップされる)
・製品・サービスページ(機能紹介文脈で引用される)
梨木: 他に、想定外だったけれど「やってよかった」と感じた瞬間はありましたか。
見山: 想定外でよかったのは、サイト内のタグの整理が進んだことです。多くの記事を作っていると、古くなったタグが残りがち。マークアップを機に最新へ切り替えられました。負債の整理は大変ですが、普段は優先度が上がりにくい部分なので、やってよかったなと。
阿波: 長い歴史のあるferret Oneサイトなので、「このURLは何か」「どこの配下にあるのか」を一度すべて整理しないとマークアップできないんです。その整理ができたのは大きなプラスでした。重要だけれど緊急ではなく後回しにしがちだったものを、結果的にユーザビリティの改善にもつなげられた。間接的な効果がありました。
AI検索対応に悩む人へ
梨木:ferret Oneユーザーで、AI検索への対応をどうすべきか迷っている方へ、一言いただけますか。
見山: まず「自社がAI検索に対応したいのか」を考えるべきだと思います。私たちは対応しに行きます。実際に、ユーザーがChatGPTで数社に絞り込み、サービスサイトを見て商談・受注に至るケースが起きている時代です。Googleの検索結果にAI回答が表示されるかどうかというより、ChatGPTが自社を候補に挙げてくれるか。そこは早めに対応しておくとベターです。
悩んでいる人は、まず自分の領域でChatGPTに聞いてみるといい。引用は流入では分かりにくいですが、ボリュームは少なくても、AIが比較してアンサーとして引用したことで受注につながる、ということが起きています。だからこそ、悩んでいたらやってみるといいと思います。
阿波:裏でコードを組んだりAIを使って進めたりと、到底一人では難しい作業でした。ミスをすると流入がゼロになることもあるので、専門家の知見のもとで進めるのが、安全かつ効果が出る方法だと感じています。
構造化データマークアップは、派手な成果が約束されるものではありません。けれど、AIがWebサイトの読み方を変え続ける今だからこそ、「何が読みに来ても通用する土台」を整えておく価値がある。流行に踊らされず、自社の目的に立ち返って優先度を考える——そんな姿勢が、変化の速い時代のWeb施策には欠かせないのかもしれません。
梨木:貴重なお話、ありがとうございました!
自社でやりきるのは難しそう」と感じた方へ
私たちは社内のソリューションチームの力も借りて実装しましたが、サイト構造の棚卸しやタグの整理など、相応の工数と専門知識を要する作業でした。
ferret Oneでは、構造化データマークアップの実装を代行するメニューをご用意しています。
Googleタグマネージャーを用いた動的対応で、記事の追加や階層変更があっても都度の修正が発生しない仕組みで実装します。
これまで10社以上のお客様に同メニューをご提供してまいりましたが、実装した企業いずれもAI経由での流入が増加し、月0件→数10件の獲得につながっています。
まずは資料のダウンロードや無料相談からお気軽にご検討ください。

構造化マークアップ実装代行
テクニカルSEOで重要とされている「構造化データ」
貴社サイト全体に対し、検索エンジンがページ内容やサイト構造を正しく理解できるよう「構造化データ」を設置します。
ご興味がある方は、ぜひ担当CSまでご相談ください。
今後ともferret Oneを宜しくお願いいたします。



